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アドレスホッパーとの出会い(高知)

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 今回は、四国ゲストハウス巡りをしていた時に、ずばぬけて面白い生き方をしている青年に出会ったので、その時の話をします。

高知 四万十町のゲストハウスへ

 前回の内子町(内子晴れ)のゲストハウスから一夜明け、次の日には南東へと車で旅立ち、次のゲストハウスがある高知県の四万十町へと向かった。

 ゲストハウスの名前は「かっぱバックパッカーズ」。ホームページを見ると、名前といい写真といいみるからに、実に愉快そうな怪しい雰囲気がただよっている。

かっぱバックパッカーズ

 !?
いや、家の真ん前に電車って!めちゃくちゃ近っ!
 と誰もがツッコミをいれたくなる外観をしている。
そして、五右衛門風呂がある、ハイジが乗っているようなブランコがある。
歩いて数分で、清流の四万十川に出るという素敵なお宿。

 そして肝心のゲストハウスのいでたちは、完全に、「田舎のおばあちゃん家」だ。
 少しわくわくして宿泊する。

 そして、そんな宿で、彼に出会うのだった。

 彼は自分より一時間ほど後にやってきて、
 写真を撮っていた自分に開口一番、こう切り出してきた。

 「はじめまして、ぼく、いっくんって言います!何て呼べばいいですか?」

 !?
 いきなりあだ名?いっくん、だと。
 なんだこいつはと最初は思った。新手のスタンド使いか?

 だが、彼と年越しそばを作り、夜空を眺め、五右衛門風呂用の焚火を見ながら二人で喋っている内にだんだんと仲良くなっていった。彼はとてもユニークな生き方をしていたのだ。

 

焚火の前で語らう

  • 福井県出身(昨日知った「つるつるいっぱい」の話で盛り上がった)
  • 東京で営業マンをしている
  • 現在25歳(2019年で26歳)
  • 身体を鍛えていて、腹筋バキバキである
  • 旅行が好きで、移動は基本的にヒッチハイクでゲストハウスに泊まっている
  • 自分には夢がある


 この時点で、中々凄いなと感心していると、彼は夢を語りだした。

 「福井に住んでいるおばあちゃん家が、実はとんでもない古民家なんです。有名な白川郷よりも大きな茅葺き屋根の家です。でも、おばあちゃんは高齢でこの先、この家が残っていくか心配しているんです」

 「そして、自分は旅が好きで、ゲストハウスが好きです。将来、自分に何が出来るのかと思って考えたんです」

 「伝統的な日本家屋であるおばあちゃん家を僕がゲストハウスにする。例えば子供でも農業などを体験できるゲストハウスにする。祖母と孫のゲストハウスにするんだって」

 「そのために、色んな日本の色んなゲストハウスを巡って勉強しているんです。盗めるところは盗む。学べるところは学ぶ。それと、こうやって色んな人と話して自分の知らない事を教えてもらうんです」

 ま、まぶしい!人生がまぶしい!
 今まで、こんなにキラキラ夢を語る人間に出会った事がなかった。彼は絶対、大成するぞ。
 そう思ったので、彼に出来るだけ、知識を授けた。
 仕事柄、色々な知識、雑学、生き方を知っているので、彼が興味を持ちそうな分野の話をしてあげた。
 例えば行動経済学の本をすすめると、すぐにメモを取り、買うといっていた。あぁ、素直だ。
 まるで、ドラゴンボールの少年悟空みたいな子だ。普通の人間は(自分も含めてだが)、普通、他人のアドバイスにはあまり耳をかさないで、疑うか、話をきいても実践はしない。ドラゴンボールで言うと、初期のクリリンみたいな性格だ。
 彼は、そうじゃなくて、なんでも素直に吸収していく、だから成長が早い、伸びしろがある。

 そして衝撃的な一言が飛び出す。
 「僕、家持ってないんです」

アドレスホッパー

 「ん?いやいや、待って。さっき、東京で営業マンしてるって言ってたよね?どういうこと?」

 疑問符が頭の中にたくさん沸いたので、彼に尋ねてみた。

  • 毎日ゲストハウスを転々としている
  • 東京に家はない
  • スーツなどはクリーニングに置いている
  • 荷物は必要最小限
  • むしろ賃貸の時より安い

 要は東京に暮らしてはいるが、家をもたずに、毎日ゲストハウスを転々としている。

 「それってさ、かえって出費が高くならないの?」
 
 「逆に安いですよ。四国のゲストハウスは普通は3,000円ぐらいしますよね。でも、東京は都内にたくさんゲストハウスがあって、しかも安いところなら1,500円ぐらいで泊まれるんです」
 
 「それは安いね!1,500円×30日としても45,000円か」

  「そうなんです。それに電気、ガス、水道みたいな高熱費もかからないですし、ネット代もWi-Fiがあるから要らないです。しかも部屋を掃除する必要がないです」

  「へー!究極のミニマリストだ」

 
後で知ったことだが、彼のような生き方をする人をアドレスホッパーというらしい。
 (↓アドレスホッパーという言葉自体は、市瀬正太郎さんという方が提唱したそうです)

 どうしても持っていかないといけない荷物がある場合は、サマリーポケット(月額で荷物を預かってくれそれをスマートフォンで確認できるサービス)に預けるという手もある。

 よくよく考えてみると、彼はこうやって自分のファンを作っているのか。と思った。出会う人々にこの話をしているのだろう。
 ヒッチハイクで、乗せてもらった人とは一緒に社員を撮る。それをSNSに載せる。
 旅で出会った人達や、ゲストハウスの旅人達と写真を撮る。それもSNSに載せる。
 こうやって、自分のファンを作っていって、いざ、自分がゲストハウスを作ったなら、彼らはゲストハウスに泊まりに来てくれるということか。

 凄いな。純粋にそう思った。こんな人間が世の中にいるのか!!という衝撃が自分の中にあった。
 まったく自分が想定していなかった価値観の持ち主だ。
 はたして、自分が25歳の時に、こんな生き方をして、ゲストハウスを作るなんて目標を掲げられるだろうか。
 彼は間違いなく、バリ島の兄貴が言っていたリミッターが外れている人間だ。自分の中で思考がまた一つブレイクスルーされることとなる夜だった。 

 そして、その後、彼には再度驚かされる事にになる。

 なんとテレビに出演したのだ!
 
 朝の情報番組「ZIP!」に、アドレスホッパーとして紹介されていたのだ。あの夜に語っていた彼のアドレスホッパーとしての生活を、テレビという媒体で日本中の人が知る。なんだか不思議な気分だった。
 
 
 GAFA、スマートフォン、VR、MR、ドローン、キャッシュレス、ビットコイン、そしてアドレスホッパー。

 今、世の中は、爆発的に変化していっています。10年前には、ほとんどの人が知らなかったような単語が、今は普通に飛び交っています。

 彼のような人が増えることによって、日本はどんな未来になっていくのでしょうね。それは楽しみなことでもあり、恐いことなのかもしれません。

 彼のTwitterを下記に記しておくので、興味がある方はフォローしてみてはどうでしょう。
 今日も彼は、色んなゲストハウスを巡っていることでしょう。そして、近い将来、おばあちゃん家の古民家でゲストハウスをしているかもしれません。そうなると、ファンの一人としては行かないわけにはいけませんね。

https://twitter.com/ADDress_hopper/status/1096661180880310272

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